プロフィール

フォトアルバム
スタッフ

自慢できる紹介はあんまりありませんが・・・

最近20代とお別れして、三十路という分かれ道を体験しております・・・。

毎日朝から晩まで一応頑張っています。

最近のコメント

最近のトラックバック

もっとお店のブログを見る

パロディー小説 Feed

2010年11月 8日 (月)

二十四 1/2(ハーフ) エピローグ・・・

   夏も終わりかけた、月がいちだんと輝く夜、

  山間の村にある、野菜畑に、一人の男が立っていた。

  その男は、頭上に広がる夜空の、遥か遠くを眺めている・・・

  周りは、昼間太陽の光を、その身に浴びた、野菜たちが、

  今は、夢見心地の時間に入っている。

  その男は、自分の心と、野菜畑のかもし出す空気を、

  同化させようとしているかのようにも見える。

  なにか、この場所を深く懐かしむかのような・・・


  
  ――― 「やはり、ここに来ていたのかトニー

  突然、その男の後方から誰かが話しかけて来た。 


  「あんたには、なんでもお見通しだな、ジャック

  男は、振り返ることなく、微笑を浮かべながら言った。


  この二人は、トニージャックだった。

  そして、この場所は、晩餐会が行われた日に、

  二人が久しぶりに再会した、野菜畑であった。


  「そんなことは、ないが・・・  ただ、ここは、お前の生まれ故郷だろ?」

  ジャックは、どうもエスパーではなく、心理学者であるらしい。


  「ああ、そうだ」

  トニーは、頭上に広がる星空を見上げながら、ジャックの問いかけに答えている。


  「二十年前の事件がなかったら、お前はずっと、ここで過ごしていたかもな・・・」

  ジャックは、なにやら昔の話しをして来た。


  「ああ、そうかもしれない」

  トニーは、表情を変えることもなく、ただ星空を見上げている。


  「しかし、後悔は、ないんだろ?」

  ジャックは、足を一歩二歩と、進めながら言った。


  「ああ」

  トニーは、静かに答えた。


  ジャックは、立ち止まって、トニーのうしろ姿をじっと見つめた。

  
  「二十年前、この村を飛び出したおかげで、あんたやミッシェルに出会えた」

  トニーは、少し感慨にひたった感じで、話している。


  「ずっと、この村に居続けていたら、ただ平凡な人生を送ってたかもしれない・・・」


  ジャックは、間を取りながら喋る、トニーの話しを黙って聞いていた。


  「後悔なんて、ないさ・・・・・

  
  
  


  「ところでお前、明日、ジャパンへ旅立つそうだな」

  ジャックは、またトニーの方へ、歩を進めながら言った。


  「ああ、そうだ」

  トニーは、相変わらず、星空を見上げている。


  「初めての地での生活は、苦労も多いと思うが・・・」

  ジャックは、遠く旅立つ友を気遣った。


  「知らない土地に飛び出していくのは、初めてのことじゃない。  大丈夫さ」

  トニーの見上げている星空は、どこまでも、遥か遠く続いている・・・


  「そうだな」

  ジャックは、トニーの横で立ち止まって、言った。


  「大統領とのことは、水に流して・・・」

  トニーは、視線を下に移して、目の前に成っている、ナスを手に取りながら言葉した。


  「異国の地で、ミッシェルと二人、新たなスタートを切ろうと思っている」

  

  
  「頑張れよ、遠く離れた地から、いつでも応援してるぞ!」

  ジャックは、トニーの肩を、ポンッと、叩いて、星の輝く空を見上げた。
  

  
  「ああ・・・  
             ありがとう・・・・・

  
 
   
   ちょうどその瞬間、なんとも穏やかな風が吹き抜け、

  畑に成る野菜たちを、さらなる深い眠りへと、いざなうのであった・・・


    
     
             おわり   


          ご愛読ありがとうございました

  

    

   

  

  

  

2010年10月27日 (水)

二十四 1/2(ハーフ) 亥の刻

   このにぎやかな晩餐会の中、

  大統領の居るテーブルだけ、冷ややかな空気が流れていた。

 
   ―― 「おい、何しに来た、そのまま、あっちへ居ろ!」
  
  ジャックは、近づいてきたトニーに慌てた感じで言った。


  トニーは、ジャックを無視して、さらに大統領に近づいた。

  
  そして、大統領の間近に立ち、険しい視線を大統領に向けて投げつけた。

  
  大統領もまた、トニーをじっと見ている。


  ジャックは、激しい焦りを胸に、その状況を見ていた。


  「君は、さっきから私を険しい目で見ていたようだが・・」

  大統領が、先に口を開いた。


  「・・・・・」

  トニーは、未だ口を開かず、じっと大統領を見ている。


  「しかしながら、私は君とは、面識が無いと思うが・・」

  大統領は、さらに続けて、言った。


  「・・・・・」

  トニーは、黙って大統領の言葉を聞いている。


  「なにか、私に対して、言いたいことでもあるのかな?」

  大統領は、いったてポーカーフェイスで、トニーに問いかけた。


  「ああ、確かに俺は、あなたと面識は無い」

  トニーが口を開き、強い口調で言った。


  「・・・・・」

  今度は、大統領トニーの言葉を黙って聞いた。


  「しかし、ミッシェル・アルメイダという女性を知ってらっしゃいますか?」

  トニーは、なにやら一人の女性の名を口にした。

  
  「ミッシェル・・・ はて?」

  大統領は、その名を頭の中で探してみた。


  「それは、俺の妻の名前です」

  トニーは、その名の正体を告げた。


  「そうなのか、だが君の妻と私が、どう関係あるのかね?」

  大統領は、トニーに問いかけた。


  「妻は昔、あなたの配膳係りをやっていた」

  トニーは、静かに語り始めた。


  「ほう」

  大統領は、相変わらずのポーカーフェイスで、トニーの話を聞いた。


  「しかし、ただ一度のミスで妻は、その仕事を辞めさせられた」

  トニーは、険しい目をしながら話しを続けた。


  「私の記憶には残っていないが、そんなことがあったのか」

  大統領は、表情を変えずに、トニーに問い返した。


  「たった一度のミスで、あなたは、妻の首を切ったんだ!」

  トニーは、強い口調で、大統領に食って掛かった。


  「おい! もうやめろ! ここはそんな話しをする場じゃない!」

  ジャックが、見るに見かねず、トニーを制止しようとした。


  だが、トニーは、ジャックを無視し、鋭い視線を大統領に投げ続けている。
  

  「なるほど、そうだったのか」

  大統領は、口を開いて言った。


  「・・・・・」

  トニーは、さらに険しくなった目で大統領を見ている。

  
  「だが、君たち夫妻に、私の食事を世話してもらうことは、もう二度とないだろう」

  大統領は、静かにそう告げた。


  この大統領の言葉に、トニーは、今にも殴りかからんばかりの、険相になった。


  この状況を間近で見ている、ジャックは、もう心臓が飛び出さんばかりだ。


  「だが、しかし・・」

  大統領が、またなにやらトニーに語りかけようとした。


  「・・・・・」

  トニーは、険相をしたまま、大統領の口から出る言葉を聞いた。


  「君たちが、存分に腕をふるえる場所を紹介しようと思うのだが、どうかね」

  大統領は、表情を変えず、なにやら提案してきた。


  「・・・・・」

  トニーは、その大統領の言葉に少々、意表をつかれた。
  

  「それは、ジャパン国にある、まんまるという店だ」

   

  大統領は、とある店の名を口にした。


  トニーの視線は、大統領を突きぬけ、遥か遠くを見つめた・・・

  
  「ジャパン・・・    まんまる・・・」
  

  
  
  ―― 時がたち、華やかな晩餐会は、幕を閉じた。

  会場のホテルから、一人の男が出てきた。 

  その後ろから、走って、別の男が追いかけてきた。 


  「おーい、トニー

  前の男は、後ろを振り向いた。


  「今日は、手伝ってくれて、助かった・・・と言いたいところだが」

  ジャックは顔を曇らせて、トニーに言った。


  トニーは、その言葉にちょっと申し訳なさげな顔をした。


  「場所をわきまえて、行動してくれないと、困る」

  ジャックは、怒った顔でトニーに言った。


  「すまない、ちょっと感情的になっちまった」

  トニーは、ジャックに謝罪の言葉を述べた。
  

  「おかげで、こっちは、大統領の秘書からオオメダマだ」

  ジャックは、怒った顔を崩して、笑みを浮かべた。


  「本当に、申し訳ない」

  トニーは、所在なげな顔で謝った。


  「しかし、よかったじゃないか、また腕をふるえる場所が見つかって」

  ジャックは、笑顔で語りかけた。


  「まだ、大統領を許したわけじゃない・・・」

  トニーは、真剣な顔になってしゃべりだした。


  「だが、今はなにか、晴れやかな気持ちでいっぱいだ」

  トニーは、かるく笑みを見せながら言った。


  「そうか、頑張れよ」

  ジャックもまた、なんとも晴れやかな気分になって、友にエールを送った。


  「ありがとう」

  
  
  二人の頭上には、キラキラと輝く星をちりばめた、

  夏の夜空が延々と広がっていた。
  


    
       つづく・・・
  

2010年10月18日 (月)

二十四 1/2(ハーフ) 戌の刻

   各国の首脳らが座っているテーブルの上に

  ジャックたちが作った料理が並べられた

  

  「おおー!」

  首脳たちから、感嘆の声が上がった。


  「さあさあ、皆さま方」

  大統領が首脳たちに向かって呼びかける。


  「乾杯をいたしましょう。グラスを持ってくださいませ。」

  大統領に促され、首脳たちは、片手にグラスを持った。


  「それでは、世界の和平と、各国の繁栄を願って、乾杯!」

  大統領が乾杯の音頭をとった。

  
  「乾杯!!」

  首脳たちもそれに応えた。


  「さあ、わが国随一のシェフが、腕によりをかけた料理をご堪能ください。」

  この大統領の声に、首脳たちは料理を口に運びはじめる・・・


  周りの者と談笑しながら食べている者、

  ただ、もくもくと食べている者と、様々だ。


  ジャックは、その光景を部屋の隅の方で見守っていた。

  そして、その隣には、トニーも立っている。


  ―― 少しして、大統領が 「こっちへ」とジャックを呼び寄せた。


  「はい、何でしょうか、大統領

  ジャックは、大統領の隣に来て伺った。


  「今日の料理は、最高だジャック

  大統領は、ジャックに賛辞を送った。


  「ありがとうございます」

  ジャックは、恐縮して言った。


  「少し、料理のことを説明してほしいのだが」

  大統領は、今日の料理のことを聞いてきた。


  「はい、なんなりと」

  ジャックは、応えた。


  「まず、このビールだが」

  

  「とくに、このクリーミーな泡が非常に美味しい、初めて味わうのどごしだが」

  大統領は、グラスを手に持って聞いた。


  「はい、これはブラウマイスターというビールでございます」

  ジャックは、ビールの名を告げ、さらに説明した。


  「絹のようにきめ細かな泡が特徴な、逸品のビールでございます」

  ジャックは、真剣な顔つきで話す。

  
  「なるほど、それと、このスープのないヌードルも実にうまい」

  

  大統領は、さらに聞いてくる。


  「ありがとうございます。これは、焼きラーメンでございます」

  ジャックは、この料理の名を言った。


  「これは、通常のヌードルと違い、茹でた麺を炒め、塩ダレで味付けした物です」

  ジャックは、大統領の輝く目を見ながら説明した。


  「そうか・・  さらに、圧巻なのは、皆さま方も、うなっておられた、これだ」

  

  大統領は、そう言って、料理を指差した。

 
  「これは、鉄マルぎょうです」

  ジャックは、そう料理の名を告げ、


  「このぎょうざは、野菜メインのあっさり、ジューシーなぎょうざでございます」

  ジャックは、そう説明をした。

  「ぎょうざは、チャイニーズの食べ物だろ。 君は、こんな料理も出来るのか?」

  大統領は、ジャックに尋ねた。 


  「はい、私は、フレンチ、イタリアン、インド料理など、各国の料理を心得ております」 

  ジャックは、柔らかな物腰で、熱く語った。


  大統領は、深くうなずき感心した。そして、


  「君たちがこしらえてくれた料理に、皆さまも満足されているようだ」

  大統領は、ジャックたちをねぎらった。


  「光栄です、大統領

  ジャックは、さらに恐縮して深く頭をさげた。


 
  ジャックが、さらに一礼して、大統領の元を離れようとした時・・


  「ああ、待ってくれ、ジャック

  大統領ジャックを呼び止めた。


  「なんでしょう、大統領

  ジャックは、振り返りまた大統領の方へ近寄って聞いた。


  「もう一つ聞きたいのだが」

  さっきまでとは違う感じのトーンで、大統領が尋ねてきた。


  「なんでしょうか?」

  ジャックは、少々、不可解な顔をした。


  「君の隣に立っている、彼のことなのだが」

  この大統領の言葉に、ジャックは、ハッとなった。

  晩餐会の進行に気をとらわれて、トニーのことが頭から離れていたのだった。


  「彼の視線が気になる。刺すような目で私を見ているように思えるのだが」

  大統領は、トニーの方を見て、ジャックに言った。


  「大統領、気のせいだと思いますが・・・」

  ジャックは、そう言って切り抜けようとしたが、内心焦っていた。


  しかし、トニーは、大統領の視線に気がついたのか

  こともあろうに、険しい顔をして、こっちへ歩み寄って来た・・・


  華やかで、にぎやかな晩餐会が盛り上がっている真っ只中、

  ジャックの焦りは、ピークを迎えるのであった・・・

      つづく・・・

  


  


  
  
  

  


    

2010年10月12日 (火)

二十四 1/2(ハーフ) 酉の刻

   会議場では、白熱した議論が終焉を迎えていた。

  各国の首脳が、世界の和平のために、

  あるいわ、わが国の利益のために、

  はたまた、自分の権力を守るためだけなのかもしれないが、

  とにかく、おのおの、何かのための、

  パフォーマンスを演じ終えようとしているのだ・・・ 


  「皆さん、今日は実りのある議論を交わせてよかった」

  大統領もまた、ホスト国首脳としてのパフォーマンスを演じる。


  「これより、場を移し、晩餐会を催したいと思います」

  大統領が各国首脳に呼びかけた。


  「おおー」

  少々こわばった顔をしていた首脳たちから、歓声があがった。


  「わが国の一流シェフが、腕によりをかけて作った料理をご堪能ください」


  この、大統領の言葉に今まで、張り詰めた空気が流れていた会場に

  今までと違う、おだやかな空気が流れだすのであった・・・


 
  ―― そして、一方・・・


  「よしっ、 完成だっ!  なんとか間に合った!!」

  ジャックが大きな声で叫んだ。


  「やったー!」   「よっしゃー!」   「ひゃっほー!!」

  室内のあちこちから、歓喜の声が上がった。


  ジャックは、笑顔でみんなの顔を見渡した。

  みんな、さっきまでは、険しい顔をしていたが、

  今は、この上ない喜びを全員で分かち合っている。


  ジャックトニーの方へ目を向けた。

  やはり、トニーの顔には、笑みは無かった。

  
  ジャックは、そんなトニーの方へ歩み寄って行った。

  
  「トニー、助かったよ。 お前がいなかったら、どうなっていたか分からない」
  
  ジャックは、トニーに感謝の念を述べた。


  「ああ、俺もみんなの役に立てて、嬉しいよ」

  そう話すトニーの顔には、やはり笑みは無い。


  「それより、喜んでばかりはいられないぞ。 まだ終わっちゃいない」

  トニーは、ジャックに言葉をかけた。


  「ああ、その通りだ」

  ジャックはそう言って、トニーのもとを離れた。


  「おい、みんな喜ぶのはひとまず中断だ! もう晩餐会が始まるぞ!」

  ジャックは、ひときわ大きな声を出して叫んだ。


  その声を期に、スタッフ全員が最後の仕上げに取り掛かった。

  
  そして、ジャックトニーもまた・・・

  それぞれの思いを胸に・・・


  
  


  ―― 大統領をはじめ、各国の首脳は、場を移し、

  晩餐会の会場へと集まっていた。


  中には、まだ、議論し足りないのか、熱く語っている者もいれば、

  もう完全にモードを切り替えて、すっかりくつろいでいる者、

  ただただ、黙って考え事をしている者など、

  各国の首脳らも、様々な態が見うけられる。


  「さあ、皆さん、料理を運んでまいりますよ」

  大統領が、各国首脳に呼びかけた。


  そして、つぎつぎと料理が会場へと、運びこまれる・・・

  ジャックは、また顔つきが険しくなっているトニーのことが、気になっていた。

  しかし、その胸の内を探っている余裕は、

  今のジャックには、無いのであった・・・


       つづく・・・

  

  


   

2010年10月 4日 (月)

二十四 1/2(ハーフ) 申の刻

    燦と照りつけた太陽が、もうじき姿を隠そうとせんころ、

  各国のお偉方たちは、白熱した議論を交わしている最中である。

  世界の平和と、全人民の安泰を守るために・・・

  建前では、そういうことなのだが・・・

  それぞれの真の思惑が、本当はどこにあるのかは、

  本人以外は、誰も知るよしもなく・・・ 

 
 
  ―― トニーの突然の出現に、場は緊張感が張り詰めた。

  「おい、 どういうつもりだ!」

  ジャックは、トニーに近づき、荒げた声で言った。 


  「・・・」

  トニーは黙ったまま、ジャックを見ている。 


  「さっきは、急にいなくなりやがって! どういうことだと、聞いてるんだ!」

  ジャックは顔を、トニーの眼前に近づけて言い放つ。


  「・・・・・」

  スタッフ全員が、緊張感漂う顔で、二人のやり取りを見ている。


  「ジャック、もう時間がないんだろ? 作業を再開しよう。何をすればいい?」

  トニーは、ジャックをかわし、厨房の奥へと、歩を進めながら言った。


  「おい、トニー!」

  ジャックは、うしろ姿のトニーに向かって言葉を発した。


  「俺の力は、もう必要ないか?」

  トニーは、振り返ることなく、ジャックに言った。


  ジャックは、苦い顔をしたが、言葉を発しなかった。


  トニーは、さらに奥へと歩を進め、白衣を身に付け、仕度を整えだした・・・


  「おい、みんな作業再開だ! 時間がないぞ、急ぐんだ!」

  ジャックは、スタッフに号令をかけ、作業の再開を促し、

  そして、トニーの方に目をやった。

  
  どうやら、準備が整ったようであるが・・・

  
        


  トニーが加わってから、作業はスムーズに運んでいった。

  ジャックは、ときどきトニーの方に目をやるが、

  その、手馴れたサバキに感心させられる。

  しかし、なにやら不安がよぎってもくるのも、また事実だ。


  ジャックは手を止め、トニーの方へ歩み寄って行った。


  「おい、トニー

  ジャックは、作業を進めているトニーの横へ来て、話しかけた。

 
  「大丈夫なのか?」

  ジャックは、非常に曖昧な問いかけをした。


  「・・・・・」

  トニーは、その問いを無視して、作業を続ける。


  「大統領のことは、もう大丈夫なのか?」

  ジャックは、今度は、少し明確になった問いかけをした。


  「大丈夫だ、もう心配しなくていい。それより、時間がない。 急ぐぞ」

  トニーは、ジャックのを見ることなく、そう答えた。


  「ああ、そうだな・・・」

  ジャックは、まだ心の中に、しっくりこないものを残しつつ、

  トニーのもとを離れ、自分の作業場へもどる・・・


  
 
  ―― 間に合わないと、あきらめかけていた者もいたが、

  トニーの加入のおかげで、どうやら間に合いそうだ。

  みんなの顔も、疲れた中にも、明るさが戻ってきている。


  だが、ジャックの心の中には、喜んでばかりは、いられない何かが・・・


   そして、晩餐会の時間は、もう間近に迫っている・・・


         つづく・・・


  

  


  

  

  
  


  

  

  

  

2010年9月28日 (火)

二十四 1/2(ハーフ) 未の刻

   街中には、多くの人々が行きかっている。

  仕事やレジャーなど、それぞれの目的の為に。

  大統領に命を受けた者が、気を失いそうになるくらいの

  焦燥感にかられていることなど気にとめることもなく・・・

  
  ―― ジャックが車に近づいて行くと、カーティスが車から出てきた。


  「おい、トニーはどうした!」

  ジャックは、大きな声を張り上げた。

  
  「それが、突然出て行ったんだ」

  カーティスも急な出来事に訳がわからない。


  「どこに行ったのか分からないのか?」

  ジャックは、聞いた。


  「分からない、あっちに行ったが、人ごみにまぎれて見失った」

  カーティスは、西の方を差しながら言った。


  「くそっ!」

  ジャックは、はき捨てるように言った。


  「探しに行くか?」

  カーティスは、尋ねてみた。


  「いや、そんな時間はない」

  そう言いながら、ジャックは、電話を掛けだした。


  『・・・・・』

  カーティスは、焦りと心配が混ざった顔でその様子を見守っている。
  

  「くそっ、つながらない!」

  ジャックの口からまた言葉がはき捨てられる。

  
  「トニーのことは、あきらめよう。車に乗り込め」

  ジャックカーティスは、車に乗り込んだ。

  
  そして、車は人々が行きかう街中を走りだした・・・

       


  ほどなくして、車は目的の地に着いた。

  ジャックカーティスは、急いで荷物を建物の中へ運び入れた。

  
  中では、クロエをはじめ、多くのスタッフが作業を進めていた。
  
  
  「例の物はどうなりました?」

  クロエは、ジャックを見るなりそう尋ねた。

  
  「なんとか手に入った。進行状況は、どうだ?」

  ジャックは、クロエに進行状況を尋ねた。


  「やれるとこまでは、やりましたが・・・」

  クロエは、ちょっと顔をくもらせて答えた。


  「すまない、俺たちがもっと早く着けていれば」

  ジャックは、申し訳なさそうに言った。

  
  「とにかく、時間がない。作業を再開しよう」

  ジャックをはじめ、みんな作業を再開しだした・・・

  ―― みんな、だいぶん焦っているようだ・・・

  そんな中、クロエジャックのとこへ、近づいて来た。

  
  「ジャック、少し晩餐会の時間を遅らせてもらいましょうか?」

  クロエは、少しうかない顔をして、ジャックに言った。


  「いやっ、そうはいかない!」

  ジャックは、少々声を荒げて言った。


  「しかし・・・!!」

  クロエは、言いかけた言葉をのんで、驚いた顔をした。

  そして、その視線はジャックの後方あたりに向けられた。


  ジャックは、後ろを振り返った。

  
  なんと! そこには、トニーが立っていた。


  ジャックも驚いた顔をしたが、だんだんそれが怒りの顔に変っていった。


  ジャックは、右手に持っていたナイフの柄を折れんばかりに強く握りしめた。

  しかし、左手に持っていたトマトを持つ手は、優しかった。

  まるで、わが子を抱えているかのように・・・

     
      
         つづく・・・

2010年9月16日 (木)

二十四 1/2(ハーフ) 午の刻

  車は、美しい緑に包まれた、道を抜け、

  前方に、市街地が開けてきたところだ。

  しかし、ジャックには、目的地に近づいて来た安心感など

  さらさら無い事であろう・・・


  ―― ジャックは、鳴っている携帯を取った。

  『俺だ、どうかしたか』

  電話の向こうの相手は、クロエみたいだ。


  『なにっ! あれが届かなかったー!!』

  ジャックは、大声で叫んだ。


  『どういう事なんだっ!』

  ジャックは、電話の相手に大声で問いただしている。


  トニーは、顔を前に向けたまま、するどい視線をジャックの方へ、向けている。

  カーティスは、少しこわばった顔で、心配そうにジャックを見ている。


  『分かった、こっちでなんとか調達する。とにかく、俺たちが着くまで頑張っててくれ』

  ジャックは、にがい顔で電話を切った。

  
  「どうしたんだ? ジャック
  
  カーティスは、心配げに、尋ねた。


  「例のものが、手にはいらなかったんだ」  

  ジャックはそう言いながら、電話を掛け出した。


  『俺だ、久しぶりだな。』

  ジャックは、電話の相手に話し掛ける。


  『すまないが、頼みたいことがある。あんたのとこでしか手に入らないんだ』

  ジャックは、神妙な顔つきで、電話の相手に話し掛けている。


  トニーは、鋭い視線をジャックの方から、前方へと移し、

  なにかに思いを張り巡らせてるようだ・・・


  『そうか、助かる! 今からそっちに向かう、待っててくれ』

  ジャックは、そう言って、電話を切った。

  「ちょっと遠回りになるが、よって行かなきゃいけない所が出来た」

  そう言って、ジャックはさらにアクセルを踏み込んだ。
  

  カーティスは、相変わらず心配そうな顔をしている。

  トニーは、ただ眼前に広がる景色を凝視しているだけだ・・・


   

  ジャックたちを乗せた車は、街中を走り抜けている。

  
  「おい、ジャック 目的地は、まだか? 時間がないぞ」

  カーティスは、不安そうにジャックに尋ねた。

  
  「もうすぐだ」

  ジャックも少々あせっている様子だ。 

  「着いた! あそこだ!」

  ジャックは、そう言い、大きなホテルを指差した。 


  ジャックは、車をホテルの前へ止めた。

  
  「ちょっと話しをしてくる。少し待っててくれ」

  ジャックはそう言って、急いで車を飛び出した。

  
  カーティスは、祈るかの面持ちで、ジャックを見送った。

  しかし、トニーは、微動だにせず、ただ前を見ているだけだ。

  その光景は、まるで置物の像が座っているかのように・・・

 
  ―― いかほど時間が経っただろうか

  ジャックが手に物を抱えて、ホテルから戻ってきた。


  近づいて来たジャックは、車の中の異変に気が付いた。


  助手席に座っているはずの像がいないのである!

  
  ジャックは、手に持っていた大事な物を落としそうになるほどの焦燥感に襲われた。


  夏の太陽は、そんなジャックを激しく照らし衝けるのであった・・・


      つづく・・・

    
     
  
  
    

  

2010年9月 9日 (木)

二十四 1/2(ハーフ) 巳の刻

   車は、鮮やかな緑の中を、足早に駆け抜けて行く。

  あたりには、心地よく陽が射し、蝶やトンボが飛び交っている。

  窓を開ければ、小鳥のさえずりが聞こえてきそうである。

  そんな、平和的で穏やかな緑の中を、

  はるか遠い目的地へと向けて、走り続けている。

  だが、それとは裏腹に、車の中は重い空気が流れていた・・・


  ―― カーティスは、車のスピードが、ほんのわずかだけ、落ちたように感じた。

  ジャックが、車の運転に、少し集中を切らしているのであろうか・・・

  
  「分かった、話そう。今、俺たちが何のために、こんなことをやっているのか。」

  ジャックは、意を決したように話し出した。


  トニーは、無言のまま、ジャックの方を見つめている。


  「今晩、大統領が各国の来賓を集めて晩餐会を催される。」


  ジャックは、前方に注意をはらいながら、話している。


  「大統領が来賓を集めて晩餐会・・・」

  トニーは、険しい顔つきでつぶやいた。


  「そうだ。そして、その晩餐会を俺たちが取り仕切るよう、大統領から仰せつかった。」

  ジャックは、チラリとトニーの方を見ながら話した。

 
  「どうして、最初から話してくれなかったんだ!」

  トニーは、ジャックに激しく、くってかかった。

  
  「別に隠してた訳じゃない。説明してる時間が無かったんだ。」

  ジャックは、くってかかるトニーに、言い返した。


  トニーは、無言でジャックをにらみつけた。


  「お前が、大統領によからぬ気持ちを抱いているのは、知っている。」

  ジャックは、なだすように話した。


  トニーは、まだ無言で、ジャックをにらんでいる。
  

  「今は、その事は忘れて手を貸してくれ。お前にも悪い話じゃないはずだ。」

  ジャックは、トニーの方を見て話した。


  トニーは、視線をジャックの方から、前へ移し、シートに深く座り直した。


  ジャックも運転に集中し直おして、美しい緑の道のりをさらに走り続ける・・・


    


  『プルルル・・・』

  突然、ジャックの携帯が鳴りだした。


  『俺だ、どうかしたか?』

  ジャックは、携帯に出て、話しかけた。


  トニーは、顔を前に向けたまま、視線だけをジャックの方に向けた。


  車は、まだまだ先の長い道のりを走って行く

  それぞれの思いを乗せながら・・・ 


     つづく・・・   

2010年8月29日 (日)

二十四 1/2(ハーフ) 辰の刻

  この村も、日が差し、すっかり明るくなっている。

  気温は多少、上昇してきているが、まだ涼しい。

  しかし、この男たちのこころは、熱くなっているであろう。

  それぞれの思いをむねに・・・


  ――村の人々も、農作業を開始するため、外に出て来始めている。

  
  「ちょっと話しをしてくる。荷物を、車に積んでてくれ」

  ジャックは、そう言って、この畑の持ち主らしき人物に話しに行った。


  「トニー、手を貸してくれて、助かるよ」

  カーティスは、荷を車に積みながら、トニーに話しかけた。


  「そうか」

  トニーは、鋭くなった眼光をしたまま、愛想なく返した。


  カーティスは、険しい表情で荷積みをしているトニーに、

  それ以上の言葉は掛けなかった。


  ジャックが畑の持ち主と話しを終え、戻って来た。


  「よし、荷物は全部積み終わったか?」

  トニーカーティスは、すべての荷を積み終えていた。


  「じゃあ、車に乗り込んで出発しよう。 あまり時間がない」

  トニーは、助手席へ、カーティスは後部座席へ、それぞれ乗り込んだ。

  そして、ジャックは、運転席へ乗り込みながら、電話を掛けだした。


  『クロエ、俺だ。今からこっちを出発する。そっちは大丈夫か?』

  トニーは、相変わらず険しい表情で、フロントガラスの前に広がる景色を眺めている。

  
  『そうか、俺たちが着くまで、よろしく頼む』

  ジャックは、そう言って電話を切った。


  「よし、 それじゃ、出発するぞ!」

  ジャックはそう言って、車を走り出させた・・・


   

  
  ・・・順調に走り出している車の中、トニーが口を割った。


  「ジャック、さっき大統領の命を受けていると言ったが・・・」 

  トニーは、鋭い眼光をジャックの方に向けて言った。

  
  「ああ・・・」 
  
  ジャックは、少々気まずそうに言った。

  
  「どういうことなんだ?」

  トニーは、さらに深く聞きだそうとしている。


  ジャックは、気を改めたかのように、話しし始めようとしていた・・・


  鋭さを増しながら詰め寄る、トニーの眼光がジャックに向けられたものなのか、

  それとも、また違うなにかに向けられたものなのか、

  後部座席から、うかがっていたカーティスには、はかりかねぬのであった・・・


        つづく・・・


  


  

  
  

2010年8月23日 (月)

二十四 1/2(ハーフ) 卯の刻

 
   あたりには、せみの鳴き声が鳴り響いている。

  それは、生まれてきたばかりの赤子が渾身のちからで泣いているよかのような・・・

  あるいは、長い下済み生活を送ってきたスターが

  やっとの思いで、日の出を見て、華やかな舞台で

  最高のパフォーマンスを飾っているかのようにも見れる。

  長い長い、地中の生活を経て、地上に出でて、

  短く散って行く、このせみの一生は、

  われわれに、何を語っているのか・・・

  しかし、そんなことを考える余裕など、今のこの男たちには・・・

  ―― この畑にも、少しづつ日が差してきた。

  「ザクッ、ザクッ」

  この競技者がいなくなった運動場に、新たな侵入者が足を踏み入れた・・・

  
  「久しぶりだな、ジャック

  作業を続けていた白人の男は、背後からの声に振り向いた。

  
  「おお!  トニー 思ったより、早く着いてくれた!」

  このジャックと呼ばれた男は、一瞬、顔をほころばせながら言った。

  
  「時間がないんだ、今は説明してるヒマはない、とにかく手を貸してほしい」

  ほころんだ顔を、真剣な顔に戻し、ジャックは言った。


  「いいだろう」

  トニーは、快諾した。


  「助かる! よし、じゃあこっちを頼む」

  ジャックは、水を得た魚のように、さらに活発に動きだした。


  「ああ」

  トニージャックの指示に従い作業を開始しだした・・・

  

  「おい、カーティス、もっと手を上げろ! そうすればとどくはずだ!」

  ジャックは、真夜中から指示に従っている男に、激しく言った。


  「いや、無理だとどかない」

  カーティスは、言い返した。


  「高くだ! もっと高く上げろ!」

  ジャックは、さらに激しく言い放つ。

  
  トニーは、横で作業しながら、指示を出しているジャックに話しかけた。
  
  「ジャック、何も分からないまま、やってるのは、気持ちのいいもんじゃない・・」


  「そうだな」

  ジャックは、多少申し訳なさそうに言い、さらに続けて言った。


  「詳しいことは、後で話すが、俺たちは、今、大統領の命を受けて動いている」


  「大統領・・・」

  トニーの眼光が、一瞬鋭くなった。

  
  そして、その鋭くなった眼光に、

  ジャックも気づいていたのであった・・・


   
     つづく・・・

  

  

  
  

  
  
  

  

おなか元気居酒屋 まんまる のサービス一覧

おなか元気居酒屋 まんまる